毎日十五分程度の昼間の仮眠をとることを強くすすめたい。

 

昼寝を勧める理由は人間(の大人)は

本質的に一日の間に二回眠る

二相性睡眠の生き物だからである。

これはさまざまな研究から、
科学的に立証されている。

古典的な研究では、
マックス・ブランク研究所のユルゲン・アショフ博士の実験結果がある。

博士は、
ボランティアを募って、
窓も時計もメディアもない地下の部屋で数週間暮らしてもらい、
身体と生活リズムの変化を記録した。

すると被験者らは、
夜の時間帯に六~七時間の睡眠をとり、
日中の時間帯に比較的短い睡眠をとるようになったという。

午後になると一時的に眠くなるのは、
誰もが日々経験していると思う。

「ランチを食べて消化器官に血液が優先的に配分され、
脳がボーッとするから」という俗説があるが、
実際は食べ物のせいではなく、
人間はもともと午後になったら生理学的に睡眠をとるようにできているから眠くなるのである。

深部体温も午後の短い時間低くなる。

ョ-ロッパの数カ国では、
シエスタという昼寝の習慣が残っていることがよく知られているが、
あれは奇異な伝統でもなんでもなくて、
昼寝をとらないほうが異常というべきかもしれない。

ひたすら生産性の向上を要求する産業革命以降の文明化が、
昼の睡魔を無視するよう強いているだけである。

だからく昼寝(仮眠)をちゃんととろう。

ほんの十五分でよいし誉うたたれレベルの浅い眠りで問題ない。

昼寝をとることは、
人間本来の生活リズムを真に回復させることにほかならない.そうすれば、
毛根も喜ぶし、
日中のその後の仕事の効率性もアップするなど良いことづくめである。

ただ本書をお読みの方の多くは、
会社勤めをしていると思うので、
そのあたりの事情を考えた昼寝の「作法」があるので紹介しておこうと思う。

このとき、
あらかじめアラーム付きの腕時計か小さな置時計を準備しておきたい。

質の良い睡眠

手順1

上司や同僚のコンセンサスを得るように努める。

ただし、
「毎日昼寝をとります」と宣言するのではなく、
午後に「ちょっと一服」と言って、
オフィスから消えることを既成事実化するのである。

もしも、
「仕事をサボっているな」と後ろ指をさされるようであれば、
それは期待されるレベルの実績をあげていないから。

昼寝の習慣化と同時に仕事面でも張り切るようにしたい。

ちなみに、

昼寝の効用を周囲に説いて

仲間に引き込むのは、

おそらく無駄な努力に終わるので、

やめておいたほうが無難。

 

手順2

午後に眠気をもよおしたら、

誰もいない会議室や応接間をキープする

(それが無理であれば、非常階段の踊り場も可)。

 

 

ブラインドを下ろし、

ソファがあればそこに、

なければ椅子をつなげるか、

床に段ボールを敷いて寝床を確保する。

 

手順3

靴を脱いで、

ワイシャツの第一ボタンをはずして、

ネクタイをゆるめる。

 

時計のアラームを十五〜二十分後にセットする。

 

手順4

寝床に仰向けに横になり、

目を閉じる。

 

強いて眠ろうとしてはいけない。

そのかわり自分の呼吸に注意を払う。

 

鼻から息を吸い、

口から吐き出すのを意識する。

こうすると湧きあがってくる雑念が、

最小限に抑えられる。

 

手順5

アラームが鳴るまで呼吸に意識を向け続ける。

 

実際に眠るのはほんの五分ぐらいかもしれないが、

目を開けたときのすがすがしさに驚くであろう。

 

仮に時間的な余裕かあったとしても

三十分以上の昼寝はよくない。

 

本格的な熟睡に入りかけたところで無理に覚醒へと引きもどすことになり、
かなり気分が悪くなる。

また、
長時間労働で知られるIT技術者がよくやる、
机に突っ伏しての仮眠はしないように。

肩こりの原因となり、
血のめぐりが悪くなって発毛に悪影響を及ぼすおそれがある。

 

もし大都市圏を活動拠点とする営業マンであれば、
「昼寝サロン」という強力な味方がある。

このサロンは、
ベッドが置いてあるだけの小さな個室で、
数十分間そこで仮眠をとることができる。

一回の使用料が千円前後で、
毎日利用するのは難しいかもしれないが、
商談が成立した時の自分へのご褒美も兼ねて、
時々使ってみてはいかがだろうか。

 

眠れない!そんなときは

睡眠環境に問題がないのに

目がさえて眠れないことかあるかもしれない。

そんなときは、
無理に寝付こうとしても逆効果だ。

「夜更かししたら、
抜け毛が増えるじゃないかよ?」などと愚痴るより、
「積んどく状態の本を読めるぞ。

ラッキー」ぐらいに気楽に考え、
ふだんせずじまいであった物事を片づけることに徹すればよい。

ただし、
これが週に何日もあるようだと問題だ。

原因はいくつか考えられるのでチェックしてみよう。

 

仕事上の不安がある

不安の対象が明確で解決可能なものであれば、
さっさと不安を取り除くべくアクションする。

時間しか解決してくれない類のものであっても、
早めることができないか検討する。

「何もしない」という選択肢は不安を増大させるばかりである。

一方で、
漠然とした不安を抱えたまま職場で過ごす人は多い。

「うつ病の気があるのか?」と変な自己診断を下す前に、
何が不安材料なのかを突き止める必要がある。

 

オフィスワーカーであれば社内の人間関係か不安の原因であることか多い。

上司への苦手意識、
同僚への嫉妬心、
部下への敵愉心など、
自ら人間関係を損なう壁を築いていないか自問する。

明らかに向こうに問題があって、
良好な人間関係が築きがたい場合でも、
こちらから歩み寄ることで打開できることがある。

プライドにこだわるよりも不安の解消に優先順位をおこう。

 

寝付きがよくなるよう酒を飲んだ

日本人男性の実に四割もが、
寝酒をしているという。

これは他国と比べてもダントツに高い割合である。

寝酒は

「睡眠薬よりたち性質が悪い」

ことはあまり理解されていない。

酒を飲むとアルコール分の作用で眠りやすくなるが、
睡眠の質ははなはだ悪くなり、
かえって寝不足になる。

体内のアルコール分が抜けると、
覚醒に近い状態に戻ってしまい、
それが夜通し持続するのが理由の一つ。

 

もう一つの理由は、
今話題の睡眠時無呼吸が生じることである。

飲酒をしてから寝ると、

呼気の通り道である上気道の筋肉かゆるんで狭くなり、

いびきをかきやすくなる。

 

 

もっと狭くなると一時的な無呼吸となり、
脳に十分な酸素が行き渡らなくなって眠りの質か落ちる。

ほんのビールー杯で断続的な無呼吸が生じるという。

晩酌の典型である、
ビール二杯と焼酎一合だと、
無呼吸の回数は一晩で200回を超える。

これでは何時間寝ても、
「よく寝れた」

という気持ちにはなれない。

酒飲みの中年に

慢性睡眠不足とうす毛が多いというのも無理はない。

寝酒はやめよう。

 

寝る前にコーヒーを飲んだ

コーヒーに含まれるカフェインには、
強力な覚醒作用があることはよく知られているので、
就寝時にコーヒーを飲む人は少ないと思うが、
念のためカフェインの影響について。

コーヒー豆の妙り方によって上下するが、
一杯のコーヒーには100ミリグラム前後のカフェインが含まれる。

二杯飲んでしまうと、
もういけない。

カフェインの覚醒効果は半時間後にはじまり、
何時間も持続する。

だから、
寝付きの点では問題なくとも、
眠っている間に何度も覚醒状態に近くなる。

そのため、
起きても「眠った気がしない」

となってしまう。

カフェインの効果は四時間以上続くので、
夕方になったらコーヒーは飲まないほうが得策である。

ちなみに、
緑茶、
ウーロン茶、
コーラなどにもカフェインはたっぷり含まれている。

案外盲点なので気をつけたい。

 

寝る前に夕食をとった

夜の九時以降にとる食事は

「夕食」でも「晩御飯」でもない。

それは「夜食」とよぶべきもので、
身体に様々な悪影響を及ぼす。

食事をとると体温が上がり眠るどころでなくなる。

食事を終えてしばらくすると眠気が襲ってくるだろうが、
消化器官が活発に働いている状態では、
良質の睡眠はとれなくなる。

トイレに何度も起きるハメにもなるし、
イヤな夢にうなされることもある。

おまけに脂肪がつきやすくなる。

夕食は、
遅くとも眠る二時間前に終えるようにしたい。

それがどうしても無理なときは、
一日二食で抜く正餐は夕食にできないかを模索する。

 

眠りの方法

眠りの方法とは通常であれば入眠に適さない

午後七~八時台の間の二十分間を仮眠にあてるものである。

これは、
フルタイムの会社の仕事と物書きの仕事と育毛を両立させようとして編み出した、
筆者の苦肉の策であったが、
繁忙期で帰宅後も仕事をするときや、
昼寝の場所が確保できない人にも有効な睡眠時間確保手段でもあるので紹介したい。

基本的に昼寝と同じ要領である。

 

手順1

仕事から帰ってきたら最低限のみづくろい(洗顔や部屋着に着替えなど)をする。

 

手順2

家族の人にことわって寝室へ。

その前に何かつまみ食いしたり、

テレビや新聞を見ないように。

 

手順3

寝室を真っ暗にするなど、

睡眠環境を整えて寝床に入る。

 

手順4

十五〜二十分の間、

目を閉じてひたすら呼吸に意識を向け続けた後、

起きる。

 

目を閉じている二十分弱の間の何分かうたた寝に近い状態になれば十分。

昼寝のとき以上に、
起きたときの感覚の変化に驚くはずである。

頭が冴え、
活力がみなぎり、
二時間かかる持ち帰りの仕事が苦でなくなっているはずだ。

多く人は、
今までどうしてこのシンプルな心身リセット法に気付かなかったのかと、
それまで晩酌やテレビで同じことを試みようとしていたことの無益さを実感するだろう。